2010年11月30日
稲イセヒカリの遺伝的特質
(1)イセヒカリは熱帯ジャポニカ遺伝子をもつ稲
在来稲の遺伝子分析では第一人者である静岡大学佐藤洋一先生に平成10年産イセヒカリ種籾を送り、イセヒカリは新品種なのかどうなのか遺伝子分析をお願いした。作っての感触としてはこれまでに手にしたことのない稲とは思いつつも、なお確信にいたる決め手がなかったのである。「お伊勢さんの稲」であり、学問の光に照らして確かにしておくべきものであった。先生は快く引き受けてくださり、平成11年6月「熱帯ジャポニカの遺伝子を持つ新品種」と判定してくださった。これでイセヒカリの基本が立ったのである。
熱帯ジャポニカは縄文時代に先行して日本に伝わった稲であり、日本で作ればそれは晩生になるので、若狭から伊勢湾にかけての線から東へ進むことが出来なかった。集約栽培である水田耕作に適する熱帯ジャポニカが後から渡来し弥生時代が始まるが、晩生である熱帯ジャポニカと温帯ジャポニカの晩生が交雑するとF2(孫)に早生が出現し瞬く間に稲は日本列島を北上することになった。この「日本の稲二元説」を出されたのが当時(平成2年)少壮の遺伝子学者であった佐藤洋一郎先生である。イセヒカリが熱帯ジャポニカの遺伝子を持ちその影響を受けているとは想像だけに出来なかったが、日本の稲の歴史がイセヒカリの中には畳みこまれているのかと思うと、皇大神宮御鎮座二千年を記念する稲には相応しいことと取れた。
イセヒカリの作り良さも燃畑農耕を支えた熱帯ジャポニカ遺伝子の影響によるところかもしれない。
(2)イセヒカリは高変異性の稲
通常の自然突然変異よりは高い頻度で突然変異を起こすイセヒカリを見られて強い関心を寄せられた佐藤先生は、栽培農家が品種改良の手段を手にしたことになると指摘されている。栽培の過程で有望な変種を発見するチャンスが訪れ、農家にとって愉しみな稲であるということである。その反面は種子更新を心掛けねばならぬということでもあるが、明治の老農たちが現在の稲品種の基となる優良系統を選抜したように、素直に稲に学ぶ心構えで精しくイセヒカリを観察しながら対応していると、思いもかけず新しい形質の稲を発見するかもしれないのである。
(3)イセヒカリの米質は硬質米であること
現在、日本の稲品種の80%を占めるコシヒカリ系統と異なり、イセヒカリはかつての、瀬戸内の低温登熟の硬質米と同じ典型的な硬質米である。炊飯には十分に水にかすこと。寝る前に仕掛けて朝炊いた昔の炊き方(6時間は水に浸した)が基本になる。一般化している電気炊飯器で我が家の好みに合った炊き方を工夫されたい。十分に時間がとれなければ、浸した水を捨て、捨てた水と同量の熱湯で湯飯きするなど工夫されて、ひと味違った硬質米の美味しさを再発見していただきたい。
以上の三点をしっかりと頭において、はじめての新しい稲を作るという気持ちで、正直に対応することである。さもないとイセヒカリはご縁無き稲となるかもしれない。それは稲の側から見ればイセヒカリは人を選ぶ稲と言えなくもない。
在来稲の遺伝子分析では第一人者である静岡大学佐藤洋一先生に平成10年産イセヒカリ種籾を送り、イセヒカリは新品種なのかどうなのか遺伝子分析をお願いした。作っての感触としてはこれまでに手にしたことのない稲とは思いつつも、なお確信にいたる決め手がなかったのである。「お伊勢さんの稲」であり、学問の光に照らして確かにしておくべきものであった。先生は快く引き受けてくださり、平成11年6月「熱帯ジャポニカの遺伝子を持つ新品種」と判定してくださった。これでイセヒカリの基本が立ったのである。
熱帯ジャポニカは縄文時代に先行して日本に伝わった稲であり、日本で作ればそれは晩生になるので、若狭から伊勢湾にかけての線から東へ進むことが出来なかった。集約栽培である水田耕作に適する熱帯ジャポニカが後から渡来し弥生時代が始まるが、晩生である熱帯ジャポニカと温帯ジャポニカの晩生が交雑するとF2(孫)に早生が出現し瞬く間に稲は日本列島を北上することになった。この「日本の稲二元説」を出されたのが当時(平成2年)少壮の遺伝子学者であった佐藤洋一郎先生である。イセヒカリが熱帯ジャポニカの遺伝子を持ちその影響を受けているとは想像だけに出来なかったが、日本の稲の歴史がイセヒカリの中には畳みこまれているのかと思うと、皇大神宮御鎮座二千年を記念する稲には相応しいことと取れた。
イセヒカリの作り良さも燃畑農耕を支えた熱帯ジャポニカ遺伝子の影響によるところかもしれない。
(2)イセヒカリは高変異性の稲
通常の自然突然変異よりは高い頻度で突然変異を起こすイセヒカリを見られて強い関心を寄せられた佐藤先生は、栽培農家が品種改良の手段を手にしたことになると指摘されている。栽培の過程で有望な変種を発見するチャンスが訪れ、農家にとって愉しみな稲であるということである。その反面は種子更新を心掛けねばならぬということでもあるが、明治の老農たちが現在の稲品種の基となる優良系統を選抜したように、素直に稲に学ぶ心構えで精しくイセヒカリを観察しながら対応していると、思いもかけず新しい形質の稲を発見するかもしれないのである。
(3)イセヒカリの米質は硬質米であること
現在、日本の稲品種の80%を占めるコシヒカリ系統と異なり、イセヒカリはかつての、瀬戸内の低温登熟の硬質米と同じ典型的な硬質米である。炊飯には十分に水にかすこと。寝る前に仕掛けて朝炊いた昔の炊き方(6時間は水に浸した)が基本になる。一般化している電気炊飯器で我が家の好みに合った炊き方を工夫されたい。十分に時間がとれなければ、浸した水を捨て、捨てた水と同量の熱湯で湯飯きするなど工夫されて、ひと味違った硬質米の美味しさを再発見していただきたい。
以上の三点をしっかりと頭において、はじめての新しい稲を作るという気持ちで、正直に対応することである。さもないとイセヒカリはご縁無き稲となるかもしれない。それは稲の側から見ればイセヒカリは人を選ぶ稲と言えなくもない。
Posted by HAPPY BIRTH CAFE at 23:31│Comments(0)
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