衣食住遊 イセヒカリ 今日無事生かして頂いてありがとう御座います

2011年04月27日

食の未来を創るーいのちの種を未来にー


実家は野菜苗を作っている農家です。
身内だからというわけではありませんが、とても良い苗です。
化学肥料を使わず水分を抑えて作る苗の根が丈夫だから。
ところが、ひとつだけ問題があります。
種の問題です。
実は父親に在来種の種を作ればどうかと提案をしたことがあります。

バカヤローそんなもん作ったって売れるか!と一言。(バカヤローはイメージです)
それが答えでした。
たしかに言うとうりだけど。
悔しい…。
やっぱりここでも金の問題なのです。
こうなったら正しい情報を広めるしかないっ!


えこ&ぴーす
Actio
2011年4月号より

タネの生命力を伝える野口種苗研究所

地域に根付いた固定種はおいしくて安全

埼玉県飯能市に、昔ながらの野菜のタネを販売するタネを販売するタネ屋さんがある。店内には伝統野菜のタネが所せましとおかれている。1929年に設立され、現在の経営者・野口勲さんは三代目。地元でつくられている固定種について話を聞いた。

☆野口のタネ/野口種苗研究所
野口 勲
プロフィール→のぐち・いさお
1944年生まれ。現在、野口種苗研究所経営。1965年、虫プロ出版社に入社し、手塚治虫担当漫画編集者となる。1967年プロ退社後、みかど育種農場で農作業と育種学を研修。1974年、出発編集稼業をやめ、家業を引き継ぐ。1983年、手塚治虫氏と手塚プロ版権部より許可をもらい「火の鳥」を看板に。著書に『いのちの種を未来に』(創森社)など。

家庭菜園には固定種がお勧め

ータネにもいろいろあるんですね
うちで売っている固定種のタネは一袋に2千粒入っている場合、ひと粒ひと粒のタネが、まるで人間の兄弟のように、2千の微妙に異なる遺伝子になっています。固定種というのは、野菜を何世代にも渡って選抜淘汰し、その土地になじんだ形質を固定化したものですが、しかしそれは最大公約数のようなもので、だいたいの平均値です。成長の速度も大きさもひとつひとつ違います。
一方のF1(first filial genera-tion)種は、人口的に交配されたタネです。異なる系統の品種をかけあわせると、メンデルの第一法則で優性形質だけが現れます。葉の数や形、根の形、表皮の厚さなど様々な遺伝子がありますが、両方の優性形質だけが出て、劣勢形質は陰に隠れます。そうすると1代限りですが、すべて同じ形に成長します。これがF1種です。
F1は生育も形も同じなだけでなく、「雑種強勢」という力が働いたとき、生育が早くなります。固定種なら3ヶ月かかるものが2ヶ月ぐらいで成長する。これは市場に出荷する農家にとって好都合です。生育が早いので1年間に畑を何回転も使える。それに見た目が同じように均等に育ち、一度に収穫できる。水洗いして束ねて箱に詰めれば、そのまま全部出荷できるのです。
固定種は遺伝子がみんな違うから、ませたものは早く育つし、奥手のものはなかなかそだたない。カブなら収穫するときに葉っぱを持ち上げて根の太り方を見て選びながら出荷します。大量の出荷には向いていないかもしれませんが、一度種を蒔くと長期収穫できるので、家庭菜園には適しています。
逆にF1は、皆いっぺんに同じ速度で育つので、家庭菜園には食べきれない。やがてみんな筋張っておいしくなくなる。成長するスピードが速いので老化も早いのです。だからうちは「家庭菜園向きの種屋です」と、家庭菜園には固定種を勧めています。


子孫のできない雄性不稔のタネだらけ

ー味だけでなく安全性も心配ですね
F1種を作るためには交配させなければいけません。ですから自分の花粉で自分の種をつけてはいけない。そのため花の構造によって異なる方法がとられています。
例えはナスやトマトは、一つの花の中におしべとめしべがあり、自分の花粉で受粉します。だから自家受粉しないように花の開花前、花粉が成熟する前におしべを抜いた花に別系統のおしべの花粉をつけて受粉させます。これを「除雄(じょゆう)」といいます。
ただこの作業には物凄く手間がかかります。ですから今、おしべを抜く必要のない「雄性不稔(ゆうせいふねん)」を利用する方法がどんどん増えています。雄性不稔とは花粉ができない異常な株です。おしべが退化している、おしべがあるけれども葯がない、葯があるけれども中の花粉が成熟できない、つまり人間なら無精子症と同じです。
これは1925年、米カルフォルニアの農業試験場でジョーンズ技師が発見しました。赤タマネギのイタリアンレッドの中に、おしべを持たない株を見つけた。この雄性不稔のタマネギは子孫を作れない代わりに、花の中に小さなミニタマネギをつくります。そのミニタマネギを土に植えると、根が延びて成長します。その株に様々なタマネギの正常な花粉を掛け合わせて試験したのです。
その結果、できた種は全部母親ゆずりの雄性不稔になった。こうして米国では1940年代からF1種づくりに雄性不稔が使われるようになりました。最初はこの雄性不稔の赤タマネギに黄色タマネギを何度も交配させ黄色タマネギのF1種を作り出した。次にトウモロコシとニンジンで雄性不稔が見つかります。
かつて日本の植物の「自家不和合性」(※注1)を利用する方法が使われていましたが、やがて雄性不稔が普及します。一番お金がかからず便利だからです。新しいF1種は雄性不稔で作られる割合が高くなっています。
このF1種を植えると、花は咲きますが花粉はできません。種がてきるのは固定種の健康な株が近くにあった場合だけです。それで受粉してできたタネはF1の種はではなく固定種のタネなのですが、なんと母親ゆずりの雄性不稔なのです。
(※注1)かぶなどのアブラナ科は、近親婚を嫌がり自分の花粉では受粉しない「自家不和合性」の性質がある。しかし近親婚を嫌がる性質は成熟しない蕾(つぼみ)のときには働かない。そこで蕾を開いて自分の成熟した花粉をめしべにつけることで、自分のクローンのタネを作ることができる。これを蕾受粉という。こうしてできたタネは遺伝子を複製したクローンとなるので、畑に蒔いても近親婚を嫌がる性質によってカブ同士では受粉しない。同じような方法で違う系統の植物のタネのクローンを作り、カブの隣に蒔くと、カブと違う系統の植物との間で受粉し、交雑した雑種F1が大量にできることになる。蕾受粉は当初は手作業で行っていたが、その後二酸化炭素を使って植物の生理を狂わせ、開花した状態でも自家受粉するする方法に変わった。

ミツバチ社会の崩壊と人間の精子減少

ーすでに影響が出ているかもしれません
私がもっとも危ないと思うのはミツバチです。ミツバチは蜜を集める際に、身体に花粉をつけるのでアーモンドやかんきつ類などの受粉に使われています。さらにF1種を作るために雄性不稔の受粉にも使われています。
米国よ採種農家の畑は最低200ヘクタール、広いところでは1000ヘクタールもあり、そこで働いているミツバチは何億匹にもなります。彼らはその畑で雄性不稔の蜜を集めて、次の女王バチと雄バチを育てるわけです。
米国各地で働きバチが一夜にしていなくなる蜂群崩壊症候群が起きたのは、2006年暮れから2007年にかけてです。米国で約3分の1のミツバチがいなくなりました。この現象を最初に報じた時期通信の記事をみると1960年代にも同様の現象が起きていたようです。
これまでの原因として、ネオニコチノイドなどの農薬や、電磁波、ダニ、ウイルス、ストレスなど様々な説が唱えられてきました。しかし雄性不稔の蜜を集めていることを誰も知らないのか、そのことを指摘する人はいません。
日本ではネオニコチノイドを原因とする人が多いのですが、そうであれば巣箱の周りに死骸があるはずです。働きバチがネオニコチノイドのかかった花などをなめると、巣に帰る途中でべろをだして落ちて死んでしまうからです。
ところが米国で起きたのは女王バチと数匹のハチを残して巣箱の働き蜂が全部逃亡していなくなる現象です。死骸はどこにもありません。しかしネオニコチノイドが原因だとしたら、それが製造されていなかった1960年頃に大量失踪がおこることはあり得ません。また現在、蜂群崩壊症候群が起きていないことを見ればネオニコチノイドが原因だったとは言えないはずです。もっと周期的な原因があると思います。
私は、雄性不稔のタマネギが1940年代から販売され始めたことを考えると、その影響が約20年経った1960年代になって現れたのではないかと思います。雄性不稔の蜜を何代にもわたって与え続けた結果、女王バチや雄バチに子孫を作る能力がなくなっていた。それで働きバチはアイデンティティを失って、絶望して巣を見捨ててどこかに行ったのではないでしょうか。
もし次に蜂群崩壊症候群が起きた際、巣箱に残っている女王バチと数匹の雄蜂の遺伝子、そのミトコンドリア遺伝子を調べると原因がわかるのではないかと思います。動物も植物も無精子症の原因はミトコンドリア遺伝子の異常です。ミトコンドリア遺伝子は母親だけから引き継がれます。ですから雄性不稔も母親からずっと引き継がれるわけです。
もし植物の雄性不稔が、ミツバチに伝わったのだとしたら、人間につたわらないわけはない。実際、人間の精子の数はどんどん減っています。1940年代に精液1ccに1億5千万いた精子は、今は1ccの中に4千万しかいない。これが2千万以下だと無精子症になります。1940年代と比べると何が一番違うのでしょうか。それは1940年以降に売り出された雄性不稔の野菜が爆発的に普及したのとなのです。


土地に順応して進化するタネ

ーますます固定種が必要な時代ですね

元来、野菜のタネは一粒が1万粒、俗に一粒万倍とも言うほどに増えます。1年目で1万、2年目で1億、3年目で1兆を超え、4年目で1京という天文学的な数字になる。本来植物のタネはそれだけの生命力を持っているのです。
ところが今は、膨大な株の中から見つかった子孫を作れない異常なタネだけが、1万、1億、1兆と増やされている。健康にいいから野菜を食べましょうといっても代表的な野菜であるタマネギとニンジンのほとんどは雄性不稔からつくられるF1種です。ニンジンはジュースになり、玉ねぎはスープになるほど世界中で一番使われています。また砂糖の元になるテンサイ、砂糖大根も雄性不稔のF1種がほとんどです。さらに砂糖を作るために搾った後の搾りかすは、加工食品の食物繊維として、またインスタントラーメンのつなぎに使われています。こうして私たちの食べている食物のあらゆるところで雄性不稔のものが使われています。私は固定種のタネをネットで販売し、全国に発送しています。仙台の人が仙台産のタネを求めてきたり、沖縄の人が沖縄産のタネを買い求めてきます。今や小さなタネ屋は次々と廃業し、どこも同じタネしか入らなくなっているからです。昔の野菜の味が忘れられない、あるいは安心な野菜を食べたい人などが固定種のタネを求めてきます。
それにもし雄性不稔のF1ばかりを食べ続けることで何か異常が起きても、正常なタネがなければ後戻りできません。どこかの地域に固定種が残れば、正常な状態にUターンできる。だから私のところでは、タネを買っていただいた方に自家採種を勧めています。
タネは非常に生命力が強く、どんどんその土地になじんで適応していきます。できた野菜のタネを採って、何代にも渡って育てることで、その土地の野菜になります。私の役割は、そうした固定種のタネを全国各地に届けることだと思っています。

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みんなでいのちのの種を未来に残したいですね。
http://noguchiseed.com/body10.html



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Posted by HAPPY BIRTH CAFE at 08:36│Comments(0)百姓
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